FUE(Follicular Unit Extraction)植毛法とは、メスを使用せずに、ドナー部分(主に後頭部)の毛根をひとつずつ丁寧に採取し、移植部位に移植する方法です。
この手法は、移植部に線状の切開をしないため、傷跡が目立ちにくく、自然な見た目に仕上げられるのが特徴です。
従来のFUT(Follicular Unit Transplantation)植毛法では、後頭部から帯状に皮膚を切り取り、そこから毛根を採取していました。しかし、FUE植毛では皮膚を切らずに直接毛根を採取できるため、傷跡が点状で目立ちにくく、回復期間も短縮されます。
近年、FUEは世界中で普及し、特にトルコではFUE植毛が主流の方法となっています。トルコのクリニックでは、高度な技術と経験を持つ医師が施術を担当し、高密度かつ自然な仕上がりを実現しています。そのため、日本を含む世界中から多くの患者がトルコでのFUE植毛を選んでいます。
また、FUE植毛を応用した技術としてDHI(Direct Hair Implantation)植毛という手法もあります。DHI植毛はFUE植毛と同じく毛根を一つずつ採取しますが、専用のDHIインプランター(専用の器具)を使用することで、スリット(移植するための小さな穴)を事前に作らずに、直接毛根を植え付けられるのが特徴です。これにより、頭皮への負担が少なく、密度の高い自然な仕上がりが期待できます。
※DHI植毛についてはDHI植毛とはのページで詳しく解説しています
FUE植毛の種類には、以下の種類があります。
当クリニックでは、この中でもより高密度な移植と回復の早さを実現できる「サファイアFUE」を採用しています。
サファイアFUEは、通常のFUEと比べてサファイア製のブレードを使用することで、より精密なスリット作成が可能になり、自然な生え際デザインと高い生着率を実現します。
項目 | 通常のFUE | サファイアFUE | NS-FUE | Long Hair FUE |
---|---|---|---|---|
使用する刃 | ステンレス製ブレード | サファイアブレード | パンチツール | パンチツール |
移植密度 | 標準的 | より高密度 | 標準的 | 高密度 |
傷の目立ちにくさ | 比較的目立ちにくい | さらに目立ちにくい | 目立ちにくい | ほぼ目立たない |
回復の早さ | 早い | さらに早い | 早い | 早い |
剃毛の必要性 | 必要 | 必要 | 不要 | 不要 |
施術時間 | 6〜8時間 | 6〜8時間 | 通常より長い | 通常より長い |
適用範囲 | 広範囲に適用 | 広範囲+高密度 | 広範囲に適用 | 生え際・密度向上に最適 |
費用 | 一般的 | 高め | 高額 | 最も高額 |
痛みの管理 | 局所麻酔で軽減 | 局所麻酔で軽減 | 局所麻酔で軽減 | 局所麻酔で軽減 |
主なメリット | 一般的なFUE技術 | 高密度+回復が早い | 剃毛不要で自然な仕上がり | 施術直後から自然な見た目 |
主なデメリット | 傷が多少目立つ | 費用が高い | 施術時間が長い&高額 | 費用が最も高い&施術時間が長い |
FUE植毛法は、ドナー部分の毛根を1本ずつ採取するため、切開を伴わず、傷跡がほぼ目立ちません。
一般的に、採取部位は0.6mm〜1.0mm程度の極小な傷跡となり、短期間で自然に回復します。そのため、術後のダウンタイムが短く、仕事や日常生活への影響を最小限に抑えたい方に適しています。
FUE植毛法は、ドナー部位(後頭部・側頭部)から毛根を一つずつ採取するため、長期的に見るとドナー部位の密度が減少する可能性があります。特に、複数回の施術を検討している場合は、ドナーエリアの管理を慎重に行うことが重要です。
また、採取範囲が広くなると、ドナー部位の毛髪の見た目に影響が出ることもあります。そのため、毛髪のデザインや将来的な薄毛の進行も考慮しながら、医師と相談の上で適切なプランを立てることが必要です。
FUE植毛では、まず患者様の頭皮の状態を詳細に診断します。移植が必要な部分の薄毛の進行具合や、ドナー部分(主に後頭部)の毛根密度を確認します。これにより、移植に必要なグラフト(毛根単位)の数を算出し、ラインの位置や密度を決定します。
施術計画では、希望する仕上がりやライフスタイルに合わせた提案を行い、自然な生え際をデザインします。これにより、術後の仕上がりが患者様の期待に応えるものとなります。
施術中の痛みを抑えるために、ドナー部分と移植部分に局所麻酔を施します。このプロセスでは、患者様の痛みや不安を最小限に抑えるよう細心の注意を払います。麻酔が浸透するまでの間、患者様にはリラックスできる環境が提供されます。
この段階では、頭皮を清潔に保つための消毒も行い、感染症リスクを最小限に抑える準備が整います。
FUE植毛では、専用の極細な器具(パンチツール)を使用して、ドナー部分(主に後頭部)から毛根を一つずつ慎重に採取します。この器具は、毛根の周囲の組織へのダメージを最小限に抑える設計となっており、採取した毛根の生存率を高める工夫がされています。
採取した毛根は、一時的に専用の保存液で保管され、移植までの間に細胞の健康を維持します。この保存液は、毛根に必要な酸素や栄養を供給する役割を果たし、移植後の生着率を向上させる効果が期待できます。
また、FUE植毛法では、毛根を均等に採取することで、ドナー部分の見た目が自然に保たれるよう配慮されています。これにより、術後に短髪スタイルを維持したい方でも、違和感なく仕上げることが可能です。
移植部分にスリット(小さな穴)を作成し、移植する毛根が自然な方向と密度で生えるよう調整します。このステップでは、移植部分のラインや密度が術後の仕上がりに大きな影響を与えるため、医師の経験と技術が問われます。
スリットのサイズや間隔は、患者様の頭皮の状態や希望に基づき、細かく設計されます。このプロセスにより、自然な仕上がりが可能になります。
採取した毛根をピンセットを用いてスリットに丁寧に植え付けます。この段階では、毛根が正しい方向で定着するよう慎重に作業が行われます。毛根の密度や生え方を細かく調整することで、自然で密度の高い仕上がりが実現します。
FUE植毛では、1回の施術で多くのグラフトを移植することが可能であり、広範囲の薄毛にも対応できます。
以上がFUE植毛の施術の流れとなります。しかし、施術そのものだけでなく、術後のケアも重要となります。
FUE植毛の術後ケアは、移植した毛髪が定着するために非常に重要です。術後はドナー部分と移植部分の頭皮を保護し、回復を促進するためのケアが行われます。特に最初の1週間は、指定された方法で洗髪を行い、頭皮の回復をサポートします。
術後の赤みや腫れは通常1週間以内に治まり、日常生活への復帰も比較的早いのが特徴です。術後ケアケアの詳細は施術後のケアについてをご覧下さい。
FUE植毛法は、広範囲にわたる薄毛や密度の高い移植に向いており、後頭部などから毛根を均等に採取して使用します。生え際や頭頂部など、見た目に配慮が必要な部分にも適しており、より自然な密度を実現します。
FUE施術後には、かゆみや腫れが発生することがありますが、これらは一時的なものであり、医師から処方された薬や冷却ケアで緩和することが可能です。また、刺激を避けるために清潔な環境で過ごし、頭皮に直接触れることを控えるなどのケアを行うと、早期回復が期待できます。
FUE植毛法は今後も進化し続けると期待されています。新たな機器や技術が導入されることで、施術の精度や生着率が向上し、患者様への負担も軽減される見通しです。また、AI技術やロボットアシストによる毛根採取も進化を遂げており、さらなる効率化が期待されています。今後、FUE植毛法はより快適で安全な植毛法として発展することでしょう。